2025/05/02
夜型業態は2019年比で依然88%の回復率にとどまっています。一次会離れ、早帰り文化、レビュー疲れ、物価高などの複合要因で、席が埋まらない店が増えているのが現状です。本ガイドでは、売上を跳ね上げる「施策効果トップ10」、利益を守る「コスパ施策トップ10」、やる理由を添えた「12か月ロードマップ」の3本柱で、集客の具体策を解説していきます。
集客課題を正しく把握するには、感覚ではなくデータを読み解くことが不可欠です。この章では、来店頻度の低下や検索行動の変化、レビュー疲れといった“今の顧客”の動きにフォーカスし、なぜ席が埋まらないのかを数字ベースで解説します。
リモートワークの普及により平日飲み会が減少し、一次会のみで帰宅する“スマホ終電族”が主流になっています。
店は「短時間でも満足できる体験」を提供しなければ、競合に顧客を奪われる時代です。
Z世代は「動画→マップ→予約」、ミレニアル世代は「口コミ→マップ→予約」、高年層は「テレビ→電話」で店を選びます。世代別に情報の出し方を最適化することが不可欠です。
星4.2でも写真が古ければ選ばれず、星3.8でも最新の動画があれば来店される。だからこそ、毎日の映像更新が重要なのです。
誰に、何を、どう伝えるかを決めることは、集客において最も重要な起点です。この章では、ペルソナの設定や差別化の軸(USP)、そして感情を動かすブランドストーリーの設計方法について、実践的な視点で解説します。
店の魅力は一律ではありません。誰が、どんな理由で来店するかを明確にすることで、情報発信や商品設計の精度が格段に上がります。例えば、28歳のIT系女子が「映え」を求め、35歳の会社飲み幹事が「スマートな幹事業務」を求め、48歳の管理職が「落ち着いた空間と上質な酒」を求めるように、それぞれにとっての“来店理由”は異なります。だからこそ、複数の代表的ペルソナを設定し、動機に基づいた導線設計が必要なのです。
「47都道府県地ビール100種」や「全県制覇ビール」など、20文字以内で“一目で何がすごいのか”を伝える表現は、動画タイトルやSNSでも反応を得やすく、競合との差別化が明確になります。短く、直感的に伝わる言葉で、自店の魅力を強く打ち出しましょう。
人は“物語”に感情を動かされます。創業の想いや仕込みの様子を短い動画にまとめることで、初見のユーザーにも親近感と信頼感を与え、価格や待ち時間のハードルを乗り越えやすくなります。映像の力で共感を先に届ける設計が、選ばれる理由につながります。
“美味しいだけ”では選ばれない時代、売上を伸ばすには顧客の期待を超える仕掛けが必要です。この章では、短期的に売上を跳ね上げる“攻め”の施策を10個厳選し、なぜ効くのか、どのように実行するのかを具体的に解説します。
Googleマップ上位3枠に入ると、クリックシェアの約70%を獲得できます。情報を最新に保ち、営業時間・支払方法・メニュー写真などを全項目埋め、アルゴリズム評価を最大化しましょう。さらに、口コミには24時間以内に返信することで、信頼度と検索順位を同時に引き上げることができます。
毎日1本、週に7本の縦型ショート動画を投稿することで、SNS上での“保存=行きたい”行動を継続的に促進できます。特に「乾杯シーン」「お通しの紹介」「炭火焼きの演出」「本日おすすめの刺身盛り」「スタッフの元気な声出し」「店内のにぎわい」「裏側の仕込み風景」などは、Z世代やSNS世代に刺さる要素として有効です。
注文の手間を省きつつ、客単価を引き上げる仕組みです。モバイルオーダーの履歴をLINEと連携させ、個別にクーポンや限定案内を配信すれば、リピート率が向上します。
「撮影タイム」を明示したカウンター席やキッチン演出を設置。お客様の撮影・投稿を促すことで、投稿率が平均50%を超える例も。無料広告として拡散力を持ちます。
地元の酒蔵・ベーカリー・農園などとコラボすることで、互いの顧客基盤を共有できます。ローカルメディアの露出や、共同ハッシュタグの活用で新規流入を後押しします。
「Hey Siri, ○○エリアのラーメン」と検索されたときに表示されるよう、GoogleビジネスQ&Aに会話形式で情報を登録。英語・中国語対応すれば、インバウンド層にも効果があります。
17〜18時の“空白時間”を活用し、サブスク会員限定でドリンク+小皿セットを提供。心理的に「使わないと損」と思わせることで、来店頻度を底上げできます。
調理・提供の様子を字幕付きで編集し、YouTubeで中高年に、Instagramで若年層に同時発信。一本の動画を複数メディアに最適化し、効率的に広報できます。
LINE公式アカウントを活用し、来店回数に応じて「焼鳥マスター」「酒場番長」などのバッジ称号を進呈。バッジを提示すると特典が受けられる仕組みにすることで、常連の満足度を高め、SNSでの自慢・シェアを促します。
さらに、特定ランク到達時には「○○店広報部長」や「常連名誉会長」といった肩書きが書かれた“デジタル名刺”を配布し、特別感を演出。店舗内に名前を掲示したり、限定イベントに招待したりすることで、ランクアップを目指すモチベーションが自然と生まれます。
「#店名」のタグをつけてSNS投稿した来店者に、次回来店時トッピング無料などの特典を提供。UGC(ユーザー生成コンテンツ)によって、友人・フォロワー経由の来店を誘発します。
集客施策は“攻め”だけでは不十分です。日々の運営の中でかけるコストを抑えつつ、効果を発揮する“守り”の打ち手も重要です。この章では、即日実行できて費用対効果の高い10個の施策を紹介します。SNS対応や導線設計の見直しなど、ちょっとした改善で成果につながる内容を中心にまとめました。
スマホ1台で無料、即日順位に影響が出る施策です。営業時間や決済手段、メニュー写真などを埋めて“未記入ゼロ”の状態にすると、検索アルゴリズムの評価が上がり、露出が増加します。
返信の統一感とスピードが評価に直結します。「感謝→おすすめ→次回来店特典」の順で3行にまとめたテンプレを配布し、全スタッフが即座に対応できるようにしましょう。
雨の日は客足が落ちやすいですが、「雨の日限定ドリンク1杯無料」などの訴求は反応率が高く、低コストで売上を維持できます。天気APIとLINE連携で自動配信すれば運用負荷も抑えられます。
スタッフが週に1回、賄いや店舗の様子を投稿するだけで、フォロワーの接点が増えます。あらかじめガイドラインとNG例を配布すればトラブルも防げます。
来店ごとに自動でスタンプが貯まり、5回でドリンク無料などの特典がもらえる仕組み。LINEやアプリを活用すれば、紙よりも継続率が高く、再来動機を作れます。
QRコードを見やすい位置に再配置するだけで、会計のスムーズさが上がり回転率も向上します。複数の決済手段に対応していることも明記しておきましょう。
BGMのテンポによって、滞在時間や注文ペースに変化が出ます。混雑時はテンポの速いBGM、空席が多い時間帯はゆったりとした曲に切り替えて、心理的コントロールを図ります。
料理が美しく見えるよう、照明の色温度や角度を工夫しましょう。とくに座席や料理を照らす位置にスポットライトを活用すると、写真映えが向上し、SNSでの拡散効果も期待できます。
ランチの余剰食材を夜営業で小皿メニューに転用し、「フードロス削減中」と掲示。環境配慮の姿勢が企業宴会や地域メディアにも好印象を与え、ブランディング効果もあります。
「あなた専用席」として名札をつけて席を予約できるカードを発行。再来動機と“自分ごと化”を生み、30日以内再来率が大幅に向上します。裏面にQR予約導線を載せると、利便性も高まります。集客施策は“攻め”だけでは不十分です。日々の運営の中でかけるコストを抑えつつ、効果を発揮する“守り”の打ち手も重要です。この章では、即日実行できて費用対効果の高い10個の施策を紹介します。SNS対応や導線設計の見直しなど、ちょっとした改善で成果につながる内容を中心にまとめました。
施策を打っても効果が見えなければ意味がありません。日々の実行が成果につながっているかを把握するには、指標(KPI)とダッシュボードでの可視化が不可欠です。この章では「何を測り、どう改善するか」を具体例とともに解説します。
Googleマップ、Instagram、食べログなど主要流入経路ごとの新規来店数を毎日把握し、最も強い導線に広告投資や投稿頻度を集中させます。
リピーターの中でも「短期・中期・長期」に分けて観察。LINE配信やサブスクの効果はどの期間に出ているのか、定点観測で明らかにします。
客単価の上昇=成功ではありません。単品追加による上昇か、値上げによるものかを区別し、再注文率やモバイルオーダーの活用度とも照らし合わせて判断します。
Instagramで保存された投稿がどれだけ来店につながったかを調査。乖離が大きければCTA(行動喚起)の文言や動画内容を見直し、来店転換率を高めます。
口コミに対する返信が95%を下回った週には当番を倍増し、翌週に即回復させます。返信率の低下は星評価や来店意欲に直結します。
週に1回、立ったままの短時間ミーティングで「原因→対策→担当→期限」を共有。改善案を出すだけでなく、次週に結果をレビューすることが何より重要です。
GoogleスプレッドシートとLooker Studioを連携し、券売機CSV・LINE友だち数・Instagram保存数などを集計。社内全員が「数字で会話する」体制を整えましょう。
アイデアや施策は、実行されて初めて成果になります。この章では「何を・いつ・なぜやるのか」を、月ごと・週ごとに整理したロードマップとして提示します。現場での迷いを減らし、着実に成長を積み上げるためのガイドラインです。(施策の参考としてご利用ください)
月 | 週 | タスク内容 | 理由 |
---|---|---|---|
1か月目 | 第1週 | Googleビジネスプロフィールを全更新 | 検索評価のベースを整える |
1か月目 | 第2週 | 口コミ返信テンプレを配布&研修 | 即時対応で信頼度アップ |
1か月目 | 第3週 | SNS用の動画素材を30本撮影 | 投稿の安定化と先回り |
1か月目 | 第4週 | 雨割APIとLINE公式連携を実装 | 天候ブレを平準化 |
2か月目 | 第1週 | ショート動画を毎日投稿開始 | アルゴリズム認知を早期獲得 |
2か月目 | 第2週 | LINE友だち500人獲得キャンペーン | CRM配信母数の確保 |
2か月目 | 第3週 | モバイルオーダーβ導入 | 接客負荷軽減と客単価向上 |
2か月目 | 第4週 | 音声検索FAQの登録開始 | ハンズフリー検索層の取り込み |
3か月目 | 第1週 | 炎演出ステージ設置 | 動画映えで来店動機化 |
3か月目 | 第2週 | スタッフ台本暗唱リハーサル | 撮影補助品質の均一化 |
3か月目 | 第3週 | モバイルオーダー本稼働 | KPIベースラインの取得 |
3か月目 | 第4週 | UGC投稿割引キャンペーン開始 | タグ付き投稿の増加 |
4か月目 | 第1週 | 地域業者とのコラボ打診 | 顧客基盤の相互取り込み |
4か月目 | 第2週 | 常連バッジ制度の設計 | 体験拡張と話題性 |
4か月目 | 第3週 | 限定メニュー告知&カウントダウン | 期待値の先出し |
4か月目 | 第4週 | ライブ配信でイベント拡散 | 遠隔層への接点形成 |
5か月目 | 第1週 | サブスクアプリ契約 | 売上の安定基盤づくり |
5か月目 | 第2週 | 0次会プラン設計 | 閑散時間帯の収益化 |
5か月目 | 第3週 | プレスリリース配信 | 話題化と集客を同時に実現 |
5か月目 | 第4週 | 登録者分析と特典見直し | 継続率の最大化 |
6か月目 | 第1週 | デジタルスタンプカード稼働 | 再来動機と来店計測の両立 |
6か月目 | 第2週 | 推し席予約カード配布 | 再訪率アップと固定客化 |
6か月目 | 第3週 | LINEタグ配信を導入 | 興味軸で開封率を向上 |
6か月目 | 第4週 | 30日リピート率を測定 | 施策ごとの影響分析 |
7か月目 | 第1週 | TikTok投稿を毎日運用 | 若年層リーチの強化 |
7か月目 | 第2週 | YouTubeショート動画制作 | 中高年層にも動画アプローチ |
7か月目 | 第3週 | ランキング演出企画 | 来店のゲーム性と話題性創出 |
7か月目 | 第4週 | 上位動画のABテスト運用 | 表現改善と最適化 |
8か月目 | 第1週 | 原価率上位メニューの改良 | 利益改善と品質維持の両立 |
8か月目 | 第2週 | POP・決済回り導線改善 | 回転率と客単価の最適化 |
8か月目 | 第3週 | クーポン文言ABテスト | クリック率と集客精度向上 |
8か月目 | 第4週 | 広告媒体別CPOを評価 | 効果的な予算配分実施 |
9か月目 | 第1週 | BGMテンポ最適化と時間帯設定 | 滞在コントロールによる回転調整 |
9か月目 | 第2週 | 調理演出の追加(音・香り) | 動画の多様化と臨場感演出 |
9か月目 | 第3週 | UGC月間投稿表彰制度実施 | 投稿継続と自己承認欲求の刺激 |
9か月目 | 第4週 | FAQ拡充と音声検証 | 検索対策と露出範囲の拡張 |
10か月目 | 第1週 | 荒天時の限定クーポン導入 | 集客機会損失を回避 |
10か月目 | 第2週 | サブスク特典増量調整 | 解約防止と継続動機の強化 |
10か月目 | 第3週 | リモート飲み向けの空間づくり | ニッチ需要の囲い込み |
10か月目 | 第4週 | 平日“推し活割”のテスト運用 | 曜日ごとの売上平準化 |
11か月目 | 第1週 | 屋台用メニューを試作 | イベント出店時の導線強化 |
11か月目 | 第2週 | ラジオCMの録音・放送 | 中高年層の認知獲得 |
11か月目 | 第3週 | 店頭照明・ライトアップ演出 | 通行者への視覚訴求強化 |
11か月目 | 第4週 | イベントデータの集計と分析 | 来年施策の改善指標づくり |
12か月目 | 第1週 | 年間KPIのレポート化 | 成果・未達の振り返り可視化 |
12か月目 | 第2週 | 2号店候補エリアを調査 | 拡張性と商圏の検証 |
12か月目 | 第3週 | 融資資料と資金計画を策定 | 出店準備と交渉力強化 |
12か月目 | 第4週 | スタッフ総会で次年度共有 | 現場の当事者意識を醸成 |
表面的な集客施策は短期的な成果しかもたらしません。重要なのは、顧客との関係をどう構築し、どう継続させるかという“構造”です。この章では、実例をもとに成功と失敗のパターンを比較し、どこで差がつくのかを明らかにします。
「常連化→投稿→接点拡張→再訪」を回す仕組みを設計し、施策ごとのKPIを毎週レビュー。SNS投稿、口コミ返信、限定メニューといった手段が点で終わらず、すべて数字でつながっていました。
高速PDCAとスタッフ全員の理解が、成長を支えた最大要因です。
開店直後は「全品半額」「毎日ドリンク無料」などの強い割引で客数を増やすも、固定ファン化せず。SNSも投稿に一貫性がなく、タグ設計もされていませんでした。
値引きでしか来ない層に依存し、利益が残らない構造になっていました。
短期的なバズよりも、毎週の小さな改善を積み重ねた店が、最終的にはリピーターに選ばれる店になります。「物語のある商品」「数字で検証する体制」「毎回少し違う体験」──この3つを軸にした店舗運営が、長期利益とブランドを両立させます。
特に、PDCA(Plan-Do-Check-Act)を毎週実施し、施策を“思いつき”ではなく“構造化された習慣”にすることが継続成長の鍵になります。
お客様が「また来たい」と思うお店には、必ず“仕組み”があります。 単なる広告や値引きだけではなく、来店後の体験設計、再訪を促す接点、日々の改善を支えるデータ体制──それらが重なって、売上ではなく“信頼”を積み上げていくのです。
本ガイドでは、居酒屋業態を例に、短期成果と長期的利益の両立を目指す営業戦略を解説してきました。すぐに実行できる施策も、少し時間をかけて整える仕組みもあります。大切なのは、今日から一歩を踏み出し、毎週・毎月改善し続けること。
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