「語り部列車」と「牡蠣ランチバスツアー」に込めた想い——西部トラベル村田さんに聞く、能登地震復興ツアーの裏側

2025/04/14

観光のチカラで復興支援を。“心”をつなぐ旅のかたちとは?

2024年1月1日に発生した能登地震。被災地では、道路やインフラの復旧が進む一方で、「心の復興」はまだ道半ばです。

そんな中、旅行会社・西部トラベルが企画したのは、現地で震災を経験した語り部にのお話を聞く「語り部列車」と、地元の牡蠣を堪能できる「牡蠣ランチバスツアー」。

観光と支援のあいだにある「リアルなつながり」をテーマにしたこのツアーには、どのような想いが込められているのか。今回は、西部トラベルの代表取締役 村田 寛さんにインタビューし、企画の背景や復興にかける想いを伺いました。

「旅行を通じて世界平和文化を創造する」企業理念

御社が大切にされている理念や価値観について教えてください。

― 西部トラベルは、「国際ネットワークを広め、人類平和文化を創造する」ことを目的として設立された会社です。旅行商品を企画する際にも、単なる観光ではなく、お客様にとって意味のある体験を届けることを大切にしています。理念に基づいた提案を常に意識しています。

やはり“お客様ファースト”を重視されているんですね。

― そうですね。お客様ファーストであることが結果的に社員満足にもつながると考えています。結果が出るまでには時間もかかるので、日々努力しながら取り組んでいます。

復興支援のきっかけは輪島からの声

震災の爪痕がまだ色濃く残る

今回の「能登地震復興ツアー」について、どのようなきっかけで企画されたのでしょうか?

― 正直なところ、最初は迷いがありました。「観光客が今行っていいのか?」と。でも、昨年8月以降、輪島の方々から「お客さんと一緒に来てほしい」というお声をたくさんいただいたんです。その一言が企画について考え始める大きなきっかけになりました。観光に来るだけでも復興につながると知り、それなら自分たちの仕事である旅行を通じて支援したいと改めて思いました。

語り部列車に込めた「現実を知る旅」の意義

語り部列車というユニークな企画には、どのような意図があったのでしょうか?

― 実際に地震を体験した方々の話を直接聞いていただくことで、ただの観光ではない“気づき”を持ち帰ってほしいと思いました。現地の被害や復興のリアルを知ってもらうことで、ツアーに意味を持たせたいというのが狙いです。

リピーターを中心に参加者が集結

参加された方々の反応はいかがでしたか?

― 多くの方が「来てよかった」とおっしゃってくださいました。過去に当社のツアーに参加されたお客様が多く、ほとんどがリピーターでした。今回もたくさんの方にご参加いただき、ありがたいことに日帰り・宿泊含めた4コースすべてがほぼ満席でした。

賛否の中でも支えになった「来てくれるだけで嬉しい」の声

ツアーを開催する中で、賛否の声もあったとのことですが…。

― はい。富山県の会社が石川県の復興支援ツアーをやることに対して、「他県の会社がやること?」というような声もありました。ただ、私の中では「隣の家が火事になって、助けないわけにはいかない」という感覚でした。できることを、自分たちなりにやる。それだけです。

被災当時の対応が語られる、語り部列車の現場

語り部列車での印象的なエピソードがあれば教えてください。

― 地震発生時、実際に列車内で対応されたスタッフの方が語り部としてお話してくださいました。混乱の中でも冷静に、お客様を避難誘導されたことがとても印象的で、今でもブルーシートがかかった家がたくさん残っていて、震災の傷跡は深いと感じました。

「一年分食べた!」と大好評の牡蠣ランチバスツアー

もう一つの企画「牡蠣ランチバスツアー」についてもお聞かせください。お客様の反応はいかがでしたか?

― 目玉である牡蠣は、たくさん楽しんでいただけるように一人あたり15個分の牡蠣をご用意しました。皆さん「もう1年分の牡蠣を食べたよ!」なんて言って、楽しそうでしたね。ビールを片手に召し上がる方も多く、和気あいあいとした雰囲気でした。

地元水産業者との連携で実現した「味の支援」

たくさん牡蠣を用意されていたんですね。準備にあたっては地元の水産業者さんとも連携されていたんですよね?

― はい。被災した養殖場が多く、復旧には時間がかかっています。でも、地元の水産会社の方々が「ぜひ企画を応援したい」と協力してくださって、今回の提供が実現しました。延べ120~130人のお客様に召し上がっていただけました。これだけの数をご用意いただいて、協力いただいた会社さんには感謝しかありません。

急ピッチの準備と、神社訪問の舞台裏

倒壊したまま、片付けることができていない神社の様子

今回の企画は準備期間がかなり短かったと伺いました。どれくらい前から始めたのでしょうか?

― 昨年の12月(2024年12月)に「来てほしい」と言われたのが始まりです。それから突貫で準備を進めました。訪問先の神社などにも「本当に行ってもいいのか?」と何度も確認させていただきましたが、快く受け入れてくださって本当にありがたかったですね。

トレーラーハウスで宿泊インフラの課題を解決へ

今後の取り組みとして、トレーラーハウスを導入する計画もあるとお聞きしました。

― はい。能登では宿泊施設が不足しているため、海外からトレーラーハウスを25台ほど輸入する計画があります。観光客や支援者の宿泊に活用したり、他地域で災害が起きたときにも再利用できるようにしたいと考えています。輸入・設置は提携企業が行い、その後の管理は当社が担当する予定です。

能登復興ツアーをシリーズ化へ

能登でのツアーは今後も継続されるのでしょうか?

― 6月以降はシリーズ化していく予定です。また、私が所属している全国の中小企業経営者の会を通じて、能登に意識の高い経営者の方々を呼び込み、地域に新しいエネルギーを届けたいと考えています。

観光の力で文化と希望を伝えるために

最後に、今後このツアーに参加される方へメッセージをお願いします。

― ただ観光で訪れるだけではなく、その土地の歴史や文化を体で感じてほしいと思っています。北陸は京都や奈良に負けないくらい文化的に豊かな地域です。能登の復興に少しでも貢献できるよう、ぜひ一度足を運んでいただけたら嬉しいです。

“見て知る”から“感じて動く”へ。旅が生む新しい復興支援のかたち

観光ができるようになること、それ自体が被災地の復興の証でもあります。そして、実際に足を運ぶことが、現地の人々の心を支える大きな力にもなります。

西部トラベルが企画するこのツアーは、「見て」「知って」「味わって」、そして「感じる」。被災地支援に対する新しいアプローチであり、旅を通じた持続可能な応援の形です。

能登の“今”を知るきっかけとして、多くの人にこのツアーが届くことを願っています。

お話をお伺いしたのは…

有限会社 西部トラベル 村田 寛さん

会社概要

  • 社名:有限会社 西部トラベル
  • 設立:1991年3月15日
  • 資本金:1,000万円
  • 代表:代表取締役 村田 寛
  • 従業員数:8名
  • 主要取引銀行:北陸銀行、富山第一銀行
  • 主要取引先:全世界の皆様

事業内容

  • 旅行業

事業所在地

  • 本社:〒939-8271 富山県富山市太郎丸西町2-7-11 ビューラーFM 1階
  • 東京支店:〒105-0013 東京都港区浜松町1-1-10 立川ビル301

著者:muun編集部

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