サトーホールディングス株式会社(以下、サトーHD)と象印マホービン株式会社(以下、象印)は、総合地球環境学研究所(以下、地球研)と共同で、マイボトルの利用定着を目指す「マイボトル利用促進プロジェクト」を2024年4月から実施しています。このたび、株式会社関電工(以下、関電工)が本社オフィスにこのプログラムを導入し、プラスチックごみとCO₂排出量の削減に取り組むこととなりました。
マイボトル利用促進プロジェクトの背景と目的
世界的にプラスチックごみの削減が求められる中、ペットボトルやカフェのプラスチックカップの使用は依然として日常的です。多くの人がマイボトルを所有しているものの、実際の利用率は低い状況が続いています。サトーHDの本社でも、年間約25,000個のプラスチックカップが使用され、マイボトルの利用者はわずか2%にとどまっていました。この課題に対処するため、サトーHD、象印、地球研は共同で、マイボトルの利用を習慣化し、プラスチック廃棄物の発生を抑制することを目的とした「マイボトル利用促進プロジェクト」を立ち上げました。
関電工の導入経緯と期待される効果
関電工の本社には約1,000人の社員が勤務しており、社内の自動販売機では年間約36万本のペットボトル飲料が購入されています。使用済みのペットボトルは自動販売機設置会社によって回収され、再生処理が行われていますが、一部は廃棄されており、循環型社会の実現に向けた課題となっています。関電工は、プラスチックごみ削減とCO₂排出量削減を推進するため、マイボトル利用促進プロジェクトに関心を持ち、オフィスへの導入を決定しました。この取り組みにより、オフィス内のプラスチックごみ削減とCO₂排出量削減が期待されています。
マイボトル利用促進プログラムの仕組み
このプログラムでは、マイボトルにRFIDタグを取り付け、個別のIDを付与します。RFIDリーダーを搭載したマイボトル洗浄機が、洗浄時に自動でRFIDを読み取り、洗浄回数を記録します。このデータを基に、ペットボトル飲料の利用をマイボトルに置き換えたと見なし、削減されたペットボトルの数からCO₂削減量を算出します。洗浄回数のデータは専用アプリに蓄積され、個人と全体の「ペットボトル削減数」と「CO₂削減量」を表示します。参加者全体の削減数と削減量が増えるごとに、アプリ画面の砂漠に森ができ、動物が出現するなどのイベントが展開され、参加者は個人と全体の行動による環境効果を数値と画像で確認できます。このように、各自の行動効果を可視化することで、マイボトルの利用に対する意識変化を促し、継続的な利用の定着を目指しています。
東京都のオンラインシンポジウムでの紹介
この取り組みは、東京都が2024年11月18日から配信するオンラインシンポジウム「オフィスにおけるプラスチック資源循環ソリューション」において、先駆的な事例として紹介されています。このシンポジウムは、東京のオフィスにおけるプラスチック資源循環を推進するためのもので、関電工の取り組みがその一例として取り上げられています。
東京都オンラインシンポジウム「オフィスにおけるプラスチック資源循環ソリューション」
配信期間:2024 年 11 月 18 日(月)~11 月 29 日(金)
詳細URL:https://www.circulareconomy.metro.tokyo.lg.jp/event/symposium
その他記載されている会社名、製品名は、各社の商標または登録商標です。
参考情報
象印マホービン株式会社の取り組み
象印マホービンは、長年にわたり製造している魔法瓶技術を活かし、環境に配慮した製品の提供に力を入れています。同社はマイボトル利用促進プロジェクトの中核企業として、専用設計の魔法瓶を提供し、利用者の飲料の保温・保冷性能を確保しています。この取り組みを通じ、象印はより多くの人々がマイボトルを使用することで環境負荷の低減に貢献できるようサポートしています。
象印の代表的なマイボトルは、軽量で携帯しやすく、日常の使用にも適しています。また、同社はボトルのデザインに多様性を持たせることで、性別や年齢を問わず幅広い層に受け入れられる製品を目指しています。
マイボトル利用促進プログラムの社会的意義
マイボトル利用促進プログラムは、オフィスでのプラスチック廃棄物削減だけでなく、企業の環境経営への貢献を示す重要な取り組みでもあります。企業がこのようなプログラムを採用することで、従業員のエコ意識を高め、持続可能な社会の実現を目指す企業価値を向上させることができます。
さらに、個人が積極的にマイボトルを利用することで、生活の中での環境意識が向上します。このような小さな行動の積み重ねが、地域社会や企業全体の変化につながる可能性を持っています。
今後の展望
マイボトル利用促進プロジェクトは、現時点では一部の企業やオフィスに限定されていますが、今後は全国規模での普及を目指しています。また、学校や公共施設など、異なる環境でも同様のプログラムが導入されることが期待されています。
また、収集されたデータを活用して、環境負荷の低減効果をさらに可視化し、他企業や自治体への導入事例として情報を発信していく予定です。これにより、プラスチック廃棄物削減の重要性と実効性を広く訴求していきます。